虫むし倶楽部今シーズン終了!

11月13日の日曜日、今シーズン最後の虫むし倶楽部を開催しました。思えば8月の活動日が雨で中途半端な開催だったのですが、あとは天気に恵まれ無事に終えることができました。参加者は各回1人から5人と決して多いとは言えないのですが、マンツーマンでいろいろな話や指導ができ、結果的に良かったと思っています。

今回の虫むし倶楽部の内容は盛りだくさんでした。午前中は鳥の巣箱かけとインセクトホテルの作業、午後は今までに採集した昆虫の標本化と同定作業です。

養老の森や道志ベース周辺でも、シジュウカラやヤマガラといった小鳥をよく観察することがあります。今回道志ベースに設置した巣箱は、これくらいの大きさの鳥の利用を期待したものです。虫とは直接関係はありませんが、生物の多様性を願う中で鳥たちの存在も大切なものです。部員のY君が、脚立があるにもかかわらずサルのごとく木を登り、準備万端です。下から巣箱を渡し、あとはY君頼みで木の幹に麻縄で縛り付け完了。下では部員のJ君が見守っていました。ねぐらとしての利用を期待し、あわよくば来春繁殖に利用してもらえることを祈っています。

午前中のもう一つの大仕事がインセクトホテルの完成形を目指した作業です。インセクトホテルは、虫やその他の生き物の冬越しを援助し、棚に設置する材料によっては繁殖の手助けにもなるという期待が寄せられます。「養老の森 虫の宿」と名付けられた外枠は、近くにお住いのクラフト作家Tさんの力作。この枠の中に生き物の冬越しをイメージして、様々なものを詰めていきます。部員たちに何を詰めるかは考えさせ、作業開始です。下段には近くに落ちているスギの木の枝を詰め、中段中央には道志ベースにおいてあったスギの薪、その両サイドには広葉樹の木の幹や枝先を詰め込みました。最後は上段ですが、一方にはスギの皮と枝先、もう一方には近くに落ちていたホオノキの葉を集めて詰め込んでいました。感心したのは、生き物は飛んでくるだけではなく、歩いてくるかもしれないので、両側に架け橋を架けていたことです。事前に用意ができず現場対応で材料を調達したため、少し偏りがありましたが、どんな生き物が利用してくれるか楽しみです。来春の虫むし倶楽部では、枠ごとにどんな生き物が棲み着いているかを調べることになりました。

午後からは室内での作業です。今までに採集し、展翅や展脚が終了しているものに採集情報を書いたラベルを添付し標本箱に納めていきます。標本箱は養老の森顧問の養老孟司先生から、要らなくなったインロー箱をいただいたものです。チョウやトンボが好きな部員やコウチュウが好きな部員と様々ですが、初めて作った標本としてはなかなかの出来ではなかったかと思います。最後の作業は同定作業です。各自図鑑を見ながら、顕微鏡を使い細部を確認し、種を確定させ同定ラベルに種名を記載し標本に追加添付していきます。この作業は時間切れとなってしまいましたが、冬の間の作業として宿題となってしまいました。

部員たちの採集した標本データは、数年後に刊行を予定している『道志村昆虫調査報告書第2報』で公開していく予定です。虫むし倶楽部は、来年も継続していく予定で、現在年間計画を作成中ですが、計画を考えているだけでワクワクしてしまうのは大人げないでしょうか。一人でも多くの方に虫に興味を持っていただき、道志村の自然を満喫していただく機会を提供していくことができればと思いますので、来年もよろしくお願いいたします。

春夏秋冬-養老の森と道志村から-は、季節関係なく随時更新していきますので、興味のある方は是非ご覧になってください。(虫むし倶楽部 部長 守屋博文)