月: 2022年8月
暑さ全開!道志村
7月末の2日間、暑さ全開の道志村に滞在しました。1日目は虫むし倶楽部で養老の森を散策し、夜は道志ベースで灯火採集でした。そんな合間や2日目の午前中に林道沿いを歩いてであった虫たちを紹介します。
暑さのせいかあまり虫たちが活動していません。セミは大違いで、アブラゼミを筆頭にミンミンゼミ、ニイニイゼミが鳴き、遠目からエゾゼミの鳴き声がします。少し気温が下がると一斉にヒグラシが鳴き始め、スギ林の中を歩いていると目の前を飛び交っていました。今年初めて聞いたのがツクツクボウシです。少し発生が早いような気がしますが、ここ数年この現象は続いているようです。
大きなケヤキの木肌を黒い粒が動き回っているので近づくと、アリの大群が。さらに目を凝らしてよく見ると、アリが集まっている中央にヤノクチナガオオアブラムシが、長い口器を木に突き刺して汁を吸い、アリに催促され蜜を背中のあたりから出し与えている。同じく木の葉の支脈から汁を吸っていたのがテングアワフキ。シャッターを切った後すぐに、ピョンと飛んで逃げていきました。木の葉と同じような色をした毛虫を発見。下向きにつかまり葉を食べていたのはリンゴドクガの幼虫。このガは背中に黒い毛の束があり、通常は見えませんが刺激を与えると背中を丸めて見せつけてきます。少し木の枝で突いていじめてみたのですが、よほど良い人に見えたのか変化がありませんでした。道際に自生している山のクリも、秋の準備が進み立派な実をつけていました。
林道を歩いていくと、草地のアザミにカツオゾウムシがしっかりと茎につかまっていました。赤い粉が良く目立ちますが、時間がたつとなくなってしまい、すぐにカツオゾウムシかどうかわからなくなってしまいます。すぐ近くのクズの葉の上には、クダマキモドキ類の幼虫がじっとしています。秋までで頑張れ!目を林の中に移すと、少し大きめの黒っぽいチョウがひらひらと飛んでいます。葉の上に止まったところをパチリ!寒冷地にはあまりなじみのないクロコノマチョウでした。もともと太平洋側の暖地に生息していたものが、分布を拡大しています。ただし寒冷地では冬を越せず死に絶えてしまいます。今回みられたクロコノマチョウも、道志川下流地域で春から夏に発生したものが、上流へ飛来してきたものと思われます。川沿いのためか、アブラチャンが多く、実をいっぱいつけていました。
川の縁に出てすぐ見つけたのがオニヤンマです。なかなか止まってくれず写真が撮影できなかったため、捕獲してアップで1枚。いつみてもかっこいい虫のⅠ種です。川まで下りて見下ろすと、穏やかな流れにシマアメンボが群れていました。流れてくるものや落下するものに反応し、せわしく動き回っています。すぐ近くには栃の実をいっぱいつけたトチノキの大木がありました。
車を駐車した近くにハンノキ類の低木があり、葉が食べられた跡が目立ったので近づいてみると、まず目に入ったのがハンノキハムシで、さらに調べているとルリハムシが幼虫と一緒に葉を食べていました。最後に見られた虫はアカハナカミキリとヨツスジハナカミキリです。この時期良く咲いているシシウドの花には、ハナカミキリの仲間やアブやハチの仲間などたくさんの虫たちが集まっています。
驚くほどたくさんの虫たちに出会うことはできませんでしたが、真夏を感じることはできました。川沿いを歩いているとその風は涼しく、さすが道志村というところです。夏休みの期間、自然と接する子どもたちが少しでも多く道志村を訪れてくれることを期待したいです。
虫むし倶楽部 部長 守屋博文