オオバアサガラは、林道整備や土砂崩れなどの後生育する、川沿いなどでよくみられるパイオニア種の樹木です。4月下旬に道志村養老の森を歩いた時にはまだ花が咲いていませんでしたが、ブドウの房のようなつぼみを持った花穂が垂れ下がっていました。
今回はオオバアサガラの葉の上で休んでいた虫たちや、歩きながら見つけたものを紹介します。まず目に飛び込んできたのは、緑色の葉に目立った黒色をしたハダカヒゲボソゾウムシと赤色のオニアカハネムシです。ハダカヒゲボソゾウムシはあちらこちらの葉の上や葉柄などで見ることができました。
少し進んで行くと、道沿いのニホンジカの糞に来ていたオオセンチコガネを発見。脅かしたつもりはないのですが、動かずに固まっていました。守屋に見つかると採集されてしまうといううわさが、虫たちの間で広まっているのかもしれません。
オオセンチコガネに別れを告げ、少し進んだ道沿いのスギの切り株周辺に、何か事件を感じる現場を発見。早速探偵気分で周辺を現場検証すると、5メートル四方ほどの範囲の中に5か所ほどの惨状を確認できました。被害にあったのはヤマドリ。最初はワシタカ類の仕業かと思ったのですが、ちょっと雰囲気が違うところがあり、可能な範囲で落ちた羽根を回収しました。持ち帰って地元の方に見せたところ、ニホンギツネの仕業ではないかとのお話をいただき納得した次第です。持ち帰った羽根は、部位ごとに並べて台紙に張り、資料として保存できればと考えています。
帰り際、オオバアサガラの葉に目を向けると葉の色と同化したワカバグモが、獲物を待ち構えて前脚を大きく広げています。近くには小さなシマバエ科の一種が休んでいました。
短時間でしたが、春の養老の森を堪能した一時でした。今年は桜の開花が早く、どうなることかと思っていたのですが、案の定他の樹木や草の開花も早くなっていました。
オオバアサガラのまぶしいほどの新緑は、少し疲れた身体を浄化してくれたような気がします。木々や草花は虫たちにとって重要な存在ですが、人間にとっても大切な恩恵をもたらしてくれる存在であることを、忘れてはいけないと感じました。
虫むし倶楽部 部長 守屋博文